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2025.07.21

血糖値を安定させる補食と効果的な食事タイミング

血糖値管理は、健康や運動パフォーマンスにおいて重要な役割を果たします。特に、補食(間食)を通じて血糖値の急激な変動を防ぐことは、エネルギー供給を安定させ、運動中や日常生活のパフォーマンス向上に役立ちます。本記事では、血糖値上昇のメカニズムや補食の選び方、運動前後の食事タイミングについて詳しく解説します。 目次 1. 血糖値の基本と補食の役割2. 血糖値上昇のメカニズムと運動の影響3. 血糖値を安定させる補食の選び方4. 運動前後の補食と食事タイミング5. 低GI食品の重要性と補食の例6. 健康的なスナックと日常生活での補食習慣7. まとめ 血糖値管理は、健康や運動パフォーマンスにおいて重要な役割を果たします。特に、補食(間食)を通じて血糖値の急激な変動を防ぐことは、エネルギー供給を安定させ、運動中や日常生活のパフォーマンス向上に役立ちます。本記事では、血糖値上昇のメカニズムや補食の選び方、運動前後の食事タイミングについて詳しく解説します。 1. 血糖値の基本と補食の役割 血糖値とは?血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度を指します。これは、私たちの体がエネルギーを得るために重要な要素です。血糖値は、食事や運動、ストレスなどの要因で簡単に変動します。通常、食事を摂取すると血糖値は上昇し、インスリンが分泌されて血糖値が正常に戻りますが、特定の状況では急激に変動することもあります。このような急激な変動を防ぐためには、適切な補食が大切です。 補食の役割補食とは、食事と食事の合間に摂る軽い食べ物や飲み物を指します。補食は、エネルギーレベルの維持や血糖値の急上昇・急降下を防ぐために役立ちます。特に、運動を行う人にとっては、運動前後に適切な補食を摂ることで、パフォーマンス向上やリカバリーをサポートし、血糖値の安定化を図ることができます。 2. 血糖値上昇のメカニズムと運動の影響 血糖値が上昇するメカニズム食事を摂取すると、体は炭水化物をブドウ糖に分解し、血液中に吸収します。この時、血糖値は上昇します。体内ではインスリンが分泌され、ブドウ糖が細胞内に取り込まれ、エネルギーとして使用されます。その後、血糖値は徐々に低下します。しかし、食事の内容やタイミングによっては、血糖値が急激に上昇し、その後急激に低下することがあります。この急激な変動を防ぐためにも、食事のタイミングや補食が重要です。 運動と血糖値の関係運動中、特に強度の高い運動では、体がエネルギー源として血中のブドウ糖を利用します。このため、運動は血糖値を下げる効果があります。しかし、激しい運動や長時間の運動では、血糖値が急激に低下し、低血糖になるリスクもあります。このような状況を避けるためには、運動前後に適切な補食を摂ることが推奨されます。 3. 血糖値を安定させる補食の選び方 補食で摂るべき栄養素血糖値を安定させるためには、以下の栄養素を含む補食が理想的です。・低GI食品: グリセミック指数(GI)が低い食品は、血糖値をゆっくり上昇させ、長時間にわたってエネルギーを供給します。・高タンパク質: タンパク質は、筋肉の修復を助けるだけでなく、エネルギー供給にも寄与します。・健康的な脂質: ナッツやアボカドなど、良質な脂質を含む食品は、血糖値の急激な変動を防ぎ、持続的なエネルギーを提供します。 具体的な補食例・ナッツ類: 良質な脂質とタンパク質が豊富で、血糖値の急激な上昇を抑える効果があります。・ヨーグルト: タンパク質と炭水化物のバランスが良く、消化も緩やかで、血糖値を安定させます。・フルーツ(低GI): フルーツに含まれる果糖などの糖は、お砂糖やブドウ糖と比べて血糖値が上がりにくい糖質です。低GIのフルーツは、ビタミンやミネラルが豊富で、血糖値の急上昇を比較的抑えながらもエネルギー補給に役立ちます。 4. 運動前後の補食と食事タイミング 運動前の補食の重要性運動前に補食を摂ることで、血糖値の急激な低下を防ぎ、パフォーマンスを維持することができます。運動前におすすめの補食には、すぐにエネルギーとして利用できる炭水化物を含むものがあります。例えば、バナナや全粒パンなどが理想的です。これらの食品は、血糖値をゆっくりと上昇させ、持続的なエネルギーを供給します。一方で、運動直前に多くの糖質を摂取すると、一時的に血糖値は上がりますが、インスリンによる抑制作用と、運動による血中の糖の消費が同時に起こり、急激な血糖値の低下を運動中に招いてしまうので、注意が必要です。 運動後の補食とリカバリー運動後には、筋肉の修復とエネルギー補充が必要です。そのため、タンパク質と炭水化物をバランス良く摂取することが重要です。運動後30分以内に補食を摂取することで、血糖値を安定させ、エネルギー補給が効率的に行われます。 5. 低GI食品の重要性と補食の例 低GI食品とは?グリセミック指数(GI)は、食品が体内でどのくらい早く血糖値を上昇させるかを示す指標です。低GI食品は、血糖値をゆっくり上昇させ、エネルギーを長時間にわたって供給するため、血糖値の急激な変動を防ぐのに役立ちます。 低GI食品を使った補食の例・全粒穀物: 全粒パンやオートミールは、エネルギーを持続的に供給し、血糖値を安定させます。・豆類: 豆は、低GI食品であり、タンパク質と食物繊維が豊富です。これにより、血糖値を安定させながら、持久力をサポートします。 6. 健康的なスナックと日常生活での補食習慣 日常的に取り入れたい補食の習慣血糖値を安定させるためには、日常的に適切な補食を取り入れることが重要です。特に、午後や運動後のエネルギーレベルが低下しやすい時間帯には、適度な補食を摂取することで、血糖値を維持できます。 忙しい日常での簡単捕食アイデア忙しい日常の中でも手軽に摂取できる補食を選ぶことで、血糖値管理が容易になります。ナッツ、ドライフルーツ、プロテインバーなどは持ち運びが便利で、仕事中や運動の合間に摂取しやすい選択肢です。 まとめ 補食は、血糖値を安定させ、運動パフォーマンスや日常生活でのエネルギー維持に重要な役割を果たします。特に、低GI食品や高タンパク質、健康的な脂質を含む補食を選ぶことで、血糖値の急激な上昇や低下を防ぎ、安定したエネルギーレベルを維持することが可能です。また、運動前後に適切な補食を摂取することで、パフォーマンスを最適化し、運動後のリカバリーを促進します。

2025.07.15

女性を支えるフェムテックの現在~妊活から産後ケアまでの最新サービス徹底紹介~

こんにちは!今回は、妊活~産後ケアまでのを支えるフェムテックの世界にフォーカスしていきます。 妊活中の方から産後のママさんまで、フェムテックのサービスは幅広く提供されています。でも「どんなサービスがあるの?」「自分に合うものは?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。 そこで、妊活~産後ケアまでのフェムテックの全体像と、具体的なサービスをわかりやすくまとめてみました。これを読めば、最新のフェムテック事情がよくわかりますよ✨ 目次 フェムテックって何?今さら聞けない基本をサラっとおさらい 最近よく耳にするフェムテックとは、女性特有の健康課題を解決するためのテクノロジーやサービスのこと。例えば、生理日の管理や妊活支援(排卵日予測)、産後のケアなど、さまざまな用途で活用されています。 このフェムテックは、今、日本でも、世界でも、とても注目を集めている分野です。その市場規模は2030年までに、日本で1000億円以上、世界で925億ドル(日本円で約13.8兆円)以上に成長すると予測されています。 このようなフェムテックを使うことで、女性がより自分の健康を管理しやすくなり、人生の各段階で選択肢が広がります🌟 今回は、特に、妊活~産後ケアまでのフェムテックに焦点を当ててお話ししていきます。 さまざまな妊活~産後ケアまでのフェムテックサービス フェムテックには、生理の管理や排卵日予測、妊産婦のケア、更年期の支援など、たくさんの分野があります。 その中で、今回は、妊活~産後ケアまでに関係の深い以下の3つの分野をくわしく見ていきましょう👇 1. 妊活支援(排卵日予測)サービス 排卵日の把握および、それに伴う適切なタイミングでの性交渉は非常に重要です。この分野のフェムテックサービスは、女性の体調をトラッキングし、妊娠しやすい日を教えてくれるものが中心です。最近では、AIやデバイスを駆使し、精度が飛躍的に向上しています。 <サービスの事例紹介> Grace Care産婦人科医監修のアルゴリズムを搭載。生理周期や基礎体温データをもとに排卵日を予測。業界初の卵巣年齢(AMH値)予測機能も搭載。 Fertism薄さ5mm、肌ストレスを軽減したソフトタッチ加工の下着装着型専用温度計で体温を24時間計測。AI技術利用を予測(予測精度は95%)。 生理管理アプリ『ソフィ』;妊娠希望モード生理用品大手が提供する生理管理アプリの“妊活希望モード”機能。『ソフィ 妊活タイミングをチェックできるおりものシート』との併用で妊娠適日をお知らせ。 2. 妊娠期健康管理(妊娠糖尿病管理)サービス 妊娠中は、母体の健康と胎児の成長モニタリングが欠かせません。この分野のフェムテックでは、医療機器として認証されたデバイスや医師と連携したサービスなども注目されています。そして、妊娠糖尿病は多くの女性が罹患する可能性があり、母体や胎児に影響を与えることもあるため、予防や管理がとても大切になってきます。 <サービスの事例紹介> Garmin Connect「Pregnancy Tracking」モバイルアプリ「Garmin Connect」と連動した自社スマートウォッチで、妊娠中の女性向けに特化した妊娠トラッキング機能を提供。妊娠糖尿病の管理もサポート。 One Drop世界100万人以上のユーザーがいる、体重、A1C、投薬、血圧、活動、食事を記録できる糖尿病管理アプリ。有料版では妊娠糖尿病患者向けのサービスも提供。 スマートバスマットバスマットと体重計を合体、お風呂上がりに普通に利用するだけで、体重、体脂肪率など15項目を自動的に記録。妊娠合併症予防のための健康アプリ等の実用化に向けた実証事業を実施中。 3.産後を中心とするメンタルケアサービス 産後の女性は、身体の回復や健康管理だけでなく、ホルモンの変化による精神的な不安定さも大きな課題として抱えています。この分野のフェムテックでは、精神状態をスクリーニングし、早い段階で適切なサポートすることが重要です。 <サービスの事例紹介> ルナルナ ベビーEPDS(産後うつスクリーニング)をアプリ内で実施。東大の研究成果をもとにしたiCBT(インターネット認知行動療法)プログラムを提供し、専門的なメンタルケアを手軽に受けられます。 mamaniere顔の自律神経バランスをAI解析する独自技術を搭載。ストレスや疲労を分析し、ケアプログラムを提案する革新的なアプローチが特徴です。 MamaWellパーソナル助産師が伴走者として寄り添う、企業向けの日本初の妊婦伴走型サービス。ウェアラブルデバイスで心拍数などを計測、妊娠中女性のストレスや不安の兆候を検知します。 4.その他 この他、妊活から妊産婦までの全ライフステージを包括的にサポートするサービスにも注目です。 <サービスの事例紹介> Ovia Health妊娠前から更年期まで、女性向けの幅広い健康管理プログラムを提供するアプリですが、妊産婦領域でも、排卵日予測や産後うつ対策をサポートします。世界の2000以上の企業の福利厚生を通じてサービスを提供しています。 Babyscripts医療機関連携で妊産婦の健康管理をサポートするアプリです。体重計測による妊娠糖尿病管理や、メンタルヘルス評価による“うつ”の早期検知など、妊産婦の健康維持を支援します。 排卵日カレンダーこのように、色々なフェムテックサービスがありますが、SympaFitも女性のための健康管理サービスの開発を進めています。パッチ型デバイスでの血糖値測定と連動し、精度の高い排卵日予測をすることで、女性の生活のサポートや妊活支援を行います。これに加え、SympaFit for Athlete でも行っているメンタルヘルス支援の治験も生かし、PMSや産後うつなどの課題にも取り組んでいければと考えています。 おわりに:妊活~産後ケアまでのライフステージに寄り添うフェムテック 妊活~産後ケアまでのフェムテックは、大切なお子さんを授かり、そして育んでいく女性の健康を支える、社会的にも重要なサービスです。医療の専門家が注目する技術や、ユーザーにとって親しみやすく、使い勝手の良さを兼ね備えたサービスもどんどん増えてきました。 妊活中、妊娠中、産後と、どのステージにいる方も、自分に合ったフェムテックサービスを見つけて、より素晴らしい未来の実現を目指してくださいね✨

2025.07.08

血糖値と睡眠の関係

睡眠と血糖値は一見無関係のように思えますが、実は密接な関わりがあります。血糖値と睡眠は、互いに双方向的な影響を及ぼし合っており、睡眠は血糖値に影響を与える一方で、血糖値コントロールも睡眠に影響を与えます。 血糖コントロールがうまくいっている人、つまり血糖値が安定し、高血糖値や低血糖値を示す頻度が少ない人は、質の良い睡眠が取れていると言えます。 血糖コントロールは睡眠に影響を及ぼす 糖尿病の研究では、睡眠の質と血糖コントロールの間に直接的な関係があることを示すエビデンスが示されています。 特に、血糖調節がうまくいっていない人、つまり、血糖値が安定せず、高血糖値や低血糖値を示す頻度が高い人は、一日を通してグルコースコントロールが良い人に比べて、睡眠が浅いことが報告されています。 さらに、血糖値調整がうまくいっていない人は、睡眠時間が短く、睡眠の質が悪いことが、示されています。 これは、糖尿病患者の研究にもとどまらず、睡眠中の血糖調節異常は糖尿病でない健常者にも頻繁に起こっていることが分かっています*1 さらに、最新の研究では、血糖値で睡眠時の交感神経を測ることが可能であるという論文も発表されており、血糖値で、睡眠の質や、自律神経活動を評価できる可能性があります*2 グルコースの使用量はノンレム睡眠時に最も少なく、脳のグルコース代謝はノンレム睡眠時に約11%低下します。一方で、レム睡眠中の脳は、実は非常に代謝が活発に働いているため、グルコース消費がさかんに行われています。 このように睡眠時の血糖値を見ることで、質の良い睡眠が取れているかどうかがわかります。 睡眠時の血糖コントロール 睡眠の質は、時間・光・運動・栄養など多くの環境要因によって変化します。 昔から寝る前に食事を取ると良くないと言われており、就寝前3・4時間前には食事を済ませるようなアドバイスがあります。これも血糖値と睡眠の質に大きく関わりがあり、理にかなったことです。 メインとなる夕食は、血糖値が上昇し、インスリンが働いて下降し、通常状態に戻る時間を考慮すると、就寝前3時間までに済ませることが望ましいです。 また、深夜のパソコンやスマホの使用によって、睡眠の質が悪くなることも懸念されております。ブルーライトによる目からの刺激と、ゲームやメールなど能動的な作業によって興奮やストレスを感じることが理由に挙げられます。 興奮やストレスが血糖値を上昇させることから、就寝前に大きな血糖変動が起こることは、食事による血糖値変動と同じく、睡眠の質に影響を及ぼします。 寝具、部屋の照度調整、サプリ、自律神経を整える行いなど、睡眠の質を高める手段は多くあり、個人によって、何が効果的かを探し、睡眠ルーティーンを作ることで、安定した質の良い睡眠を取るよう心がけてください。 睡眠の質を上げる工夫として、以上のような血糖値を指標に就寝までのルーティーンを作っていくことが重要です。

2025.07.01

試合前のベストな食事タイミングとは?

いつ食事を取れば試合本番で最大のパフォーマンスが出せるのか? SympaFitは、激しい運動や試合の2時間前に補食や食事を済ませることを推奨しています。激しい運動や試合の直前に補食や食事をすると、低血糖を引き起こし、パフォーマンスの低下を招いてしまう可能性があるためです。 後半のスタミナ切れが不安な場合でも心配ありません。試合直前にエネルギーを溜め込むことは難しく、また、体内に数日前から貯蔵されているエネルギーで、実質的なエネルギー不足が起きることはありません。 目次 食事後は、血糖値が上昇し、約2時間で元の血糖値に戻る 血糖値とは?血糖値は、グルコース(ブドウ糖)という糖の血液中の濃度を示すものです。一般的に糖質を取ると30〜60分で血糖値が上がり始めます。 食事でなぜ血糖値が下がるのか?グルコースは、血管内では血管内皮を傷つける分子となって存在するため、血管中に高濃度に長時間存在すると、身体にとってよくないものです。そこで人体は、膵臓からインスリンというホルモンを分泌することによって、血糖値を下げようする働きがあります。 一般的に、血糖値は100 mg/dL前後に保たれていますが、糖質を摂取したときには150〜200 mg/dL程度まで上昇します。その後、血糖値はインスリンの働きによって、糖質摂取前の100 mg/dL前後まで下がります。 この血糖値の上がり方が急であると(短時間で糖を吸収してしまうと)、いわゆる血糖値スパイクと言われ、血糖値は急に上昇し、インスリンもそれに反応して一気に分泌され、急に血糖値は下降します。 一方で、糖の吸収を緩やかにすることによって、血糖値は緩やかに上昇し、緩やかに下降します。 激しい運動や試合の2時間前には食事を済ませよう アスリートの場合、糖質を摂取して血糖値が落ち着いてから運動、または試合に望むことが好ましいです。 なぜなら、糖質を運動直前に取ると、インスリンによる血糖値の低下と、運動による血中の糖の消費が相まって、低血糖を引き起こしやすいからです。 これをインスリンショックと言い、血糖値の低下によるだるさやパフォーマンスの低下を招いてしまいます(*1)。よって、アスリートは、激しい運動や試合の2時間前には、補食や食事を済ませるよう推奨しています。 数日前から炭水化物多めの食事を取ることでパフォーマンスを発揮しやすくなる 試合直前の食事は、インスリンによる血糖値低下によってパフォーマンスに影響を及ぼすだけでなく、血管内に糖分を貯めることはできないことがわかっています。 したがって、試合直前にエネルギーを溜め込むことを目的として、糖質を大量に摂取することは逆効果になる恐れがあります。 糖質を貯蓄する方法として、生物は、糖分をグリコーゲンという形で、骨格筋と肝臓に貯蓄しています。ヒトの場合、骨格筋に約400 g(1600 kcal)、肝臓に約100 g(400 kcal)のグリコーゲンが貯蓄されます。グリコーゲンは、急には貯蔵できないので、グリコーゲンのキャパシティいっぱいにエネルギーの貯金を作るには、数日前から炭水化物多めの食事(カーボローディング等)によって、グリコーゲンとして糖質を貯蔵することによって、エネルギーはフルに貯めることが可能です。 ちなみに、アルコールの分解に肝臓中のグリコーゲンは使われるので、マラソン前の数日間は、アルコール摂取はおすすめできないということになります。 エネルギー枯渇の不安への対処 とはいえ、長時間の試合など、後半のスタミナ切れが不安になると思います。 体内の貯蔵グリコーゲン最大500 gは、高強度のフルマラソンくらいにならないと枯渇することはありません。よって、多くのスポーツ競技は、試合前2時間前くらいの補食によるエネルギー補給で、実質的なエネルギー不足は起きません。 気持ち的な部分で糖質を直前に補給したい場合は、バナナやゼリーなど固形物を含む糖質をゆっくり摂取することをおすすめします。 一方、フルマラソンでは、レース中にインスリンショックがおこらないよう、かつ吸収を早める糖質補給が大切になってきます。それに加え、筋肉中のグリコーゲンが枯渇するいわゆる30 kmの壁を乗り越えるために、肝臓中のグリコーゲンをエネルギーとして使用できるよう、うまくアドレナリンを出していくことが重要となります。 まとめ 試合開始2時間以内の食事は、インスリンによる血糖値の低下と、運動による血中の糖の消費が相まって、低血糖(エネルギーの低下)を引き起こす可能性があります。SympaFitでは、激しい運動や試合の2時間前に補食や食事を済ませることを推奨しています。 また、試合直前にエネルギーを溜め込むことは難しいため、試合数日前から炭水化物多めの食事によって体内にエネルギーを貯蔵することが重要です。 参考文献:1. F. West, E. Bond, J. Shurley, C. Meyers “Insulin coma therapy in schizophrenia; a fourteen-year follow-up study” Am J Psychiatry 111, 583-589 (1955). 

2025.06.24

SympaFit代表取締役 加治佐平──血糖値解析で未来の健康を支える挑戦

はじめまして。株式会社SympaFit代表取締役の加治佐平です。私たちは血糖値解析という一見シンプルな指標から、人々の健康や生活の質を底上げすることを目指し、日々研究とサービス開発に取り組んでいます。この記事では、私自身のこれまでの歩みと、なぜ血糖値に向き合い続けるのか、その理由をお話ししたいと思います。 野球で学んだことが今の礎に 私は野球が好きで、甲子園、プロ野球を目指していました。その中で、高校時代は、仲間と野球部を創設し、甲子園を目指した経験は、現在の起業家としての礎となっています。チームを組んで、ゼロイチを生み出すという姿勢は、今の研究テーマを実用化していく起業家としての基盤そのものです。 血糖値モニターが教えてくれた身体の奥深さ 大学時代も投手として野球を続け、神宮という大舞台を経験するなかで、心と身体を一致させて、本番で100%の実力を発揮することの難しさを痛感してきました。その後の大学院からの「糖」の研究、その後大学教員や企業において、「血糖値」に関する研究開発を続けていく中で、スポーツとの共通項や応用ニーズはないか、を模索していました。そんな中、偶然血糖値モニターを使う機会があり、私は衝撃を受けました。自分の血糖値が、マラソン大会本番では、低くなっていると思いきや、大きく上昇していたからです。「普通に暮らす中で、食事だけでなく、これほど身体は変化しているのか」。その驚きは、血糖値解析の可能性を追求したいという情熱へと変わりました。 SympaFitの取り組み ─ 血糖値データの可能性を拡げる挑戦 起業当初、私たちはまずアスリートの支援に力を入れました。血糖値パターンを個別に解析し、最適な食事や睡眠を整えながら、試合本番直前の心構えや補食の提案、試合中の気持ちに関するアドバイスをすることで、パフォーマンスの最大化を目指したのです。次に、様々な競技種目のトップアスリートを日々アドバイスする中で、女性アスリートの血糖値が、一定の周期とともに特徴的な挙動を示すことに気づき、これをきっかけに排卵日予測や生理・PMSの重症度予測という新たな領域への研究が始まりました。 現在、SympaFitでは次のようなテーマに取り組んでいます。 女性の排卵日を血糖値で予測する技術の高精度化 女性ホルモン変動と血糖値の関係をデータで解明し、これまでにない個別性の高い排卵日予測を目指しています。 生理・PMSの重症度予測の探求 血糖値パターンから体調変化の兆候をとらえ、女性がより快適に過ごせる日常のサポートを行います。 睡眠の質の底上げを目指す血糖値解析研究 睡眠中の血糖値変動から睡眠の質を評価するだけでなく、日中の血糖値変動から、睡眠の改善ポイントを探り、睡眠の質を改善しています。 企業との共同研究・提携 私たちは血糖値解析の可能性は医療やスポーツ、女性の健康領域にとどまらないと考えています。現在、複数の企業と提携し、未開拓の領域でも血糖値データの活用価値を明らかにする取り組みを進めています。産学連携や異業種連携を通じて、血糖値解析の新しい地平を切り拓いていきます。 血糖値というシグナルで未来の健康を創る 血糖値は、私たちの身体が日々発している大切なシグナルです。このデータを的確に読み解き、日常に活かすことで、誰もが自分の体調を理解し、より良い選択ができる社会をつくりたい。SympaFitは血糖値解析技術を軸に、健常者の健康寿命の延伸とQOL向上に貢献するサービスを提供し続けます。投資家やパートナーの皆さまと共に、血糖値の可能性を最大化し、未来のヘルスケアを共創していければと願っています。